新潟のベンチャー企業の役員が起業してからの2年間を振り返ってみた

20160103_aspiration01こんにちは、クーネルワークの坂井です。
経営陣のひとりとして、主に制作と財務を見ている人です。

クーネルワークは「合同会社直送計画」と「株式会社クフー」という2つの会社が合併してできた会社なのですが、「株式会社クフー」という会社で社長をやっていました。

その会社をはじめてから2年ちょっと経ったこと、クーネルワークとして1年経ったこともあり、いま考えていることや、これまで考えてきたことを残しておこうと思います。

ちょっと長めですが、こんな人もいるんだなあ、という好奇の目で見ていただければと思います。

これまでの経緯(クフー創業)

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前職はいわゆる「ホワイト企業」

僕はもともと新潟では有名な、いわゆる「ホワイト企業」に勤めていました。
就職活動の時、ホワイト企業ながらベンチャー思考を持っているのが印象的でした。

少数精鋭を掲げており、若くして多くの経験が積める会社とのことだったので、
いつかは何かで独立したいと考えていた僕にとっては、願ってもない環境だと思い入社を決めました。

経験を積むなら東京へ行くべきでは、とも思いましたが、どうせ何かやるなら、生まれ育った新潟をもっと面白い場所にしたいという思いもあり、新潟で就職を決めました。

「新潟って何もないよね」

新潟で暮らしてきた僕は、「新潟って何もないよね」って自虐をよく耳にします。確かに、新潟には他県に見られるような分かりやすいコンテンツは少ないのですが、誇るべき豊かな自然や食文化があります。

実は「何もない」と言っているのは新潟の人間ばかりなのです。生まれた頃から当たり前のように満たされているから、よくわからないのです。

地元の人間、特に若い世代が地元の良さがわからない、というのは哀しいことだと思います。そんな状況をなんとかし、「新潟でも面白いことができるぞ!」というのをいつか示そうと思っていました。

光陰矢の如し

そんな思いを抱きながら入社してみると、いやはや時間が経つのは本当に早いものであっという間に2年が過ぎてしまいました。

人生を俯瞰して、逆算して考えたときに「ああ、そろそろスタートしないとなんだな」と直感的に思いました。具体的にどんなことをするかは全然決まっていなかったのですが、「失敗するなら今しかない」という感じです。何も決まっていないけど、何かしら動き出さないと、ということでなんとなく起業を決断しました。

とにかく「ものづくり」がしたい!

普通は何かがやりたいから起業するものだと思いますが、僕の場合は漠然と「ものづくりがしたい」と思っていただけでした。幼い頃から絵を描くことや、音楽を作ることが好きで、自分で考えた何かを形にするのが好きだったのが理由です。

中学生の頃にちょろっとホームページを作って、自作ゲームを公開したり、アフィリエイトで小遣い稼ぎをした経験があったので「WEB系の何かが一番手っ取り早そうだ」ということで、「仕事を受けながらWEB技術を磨いて、仲間を集めて、いずれ何か便利なWEBサービスを作ってやろう」くらいの気持ちで退社を決めたのでした。

まずはやってみよう、やってみなくちゃわからないよね、というスタンスです。

フリーランス時代(2014年8月〜10月頃)

そんなわけで知識やお金、業界経験、ノウハウなど、ほとんど何もない状態で、勢いと直感だけでフリーランスとして起業しました。「昔趣味でやってたし、興味もあるし、なんとかなるんじゃないか」という超絶楽観主義の下です。

ただ、貯金がそれほどなかったので時間もなく、死に物狂いの独学を開始。大袈裟でなくほぼ毎日、文字どおり起きてから寝るまでどっぷり作業しては学んでの繰り返し。当時は多分、脳内麻薬でラリってたのだと思います。不思議と疲れは感じませんでした。

そもそも業界の主流はどういう感じなんだとか、どんな技術を習得すればいいんだとか、SEOってどうすればいいんだとか、ホームページでアクセスを伸ばすにはどうしたらいいのかとか、お問い合わせ率を上げるにはどうしたらいいんだとか、リスティングってなんだとか、実際に自分でブログを作って運営して、色々試しまくっていました。

自分のブログもリニューアルを繰り返して、自分の中で納得のいくものができたときにきちんと営業開始。時間はかかったけどそれなりのものが出来たからか、そのブログをひとつの実績として、いくつかお仕事を頂けるようになりました。

リモートワーク時代(2014年11月〜2015年9月頃)

ここで微かながら手応えを感じ、自信がついたこともあり、親しい友達を2人誘って、リモートワークでの仕事を開始しました。本当は一箇所に集まって「起業だー!」とやりたかったのですが、メンバーの1人が東京に在住だったこと、旧知の仲だったので意思の疎通や信頼関係は大丈夫だろうと思ったこと、僕が出不精だったことなどが相まって、リモートワークとしました。

誘った2人はどちらも業界未経験でしたが、2人とも優秀だったし、自分のほんの僅かな成功体験から「まあ行けるっしょ」ということで始まりました。

しかし、結論から言うと、そんなに業界甘くなかったです。ナメすぎでした。経験不足による品質の担保や、納期的な面でかなり苦戦することになりました。

営業の成果が実って仕事自体はたくさん頂けたのですが、繁忙期にはオーバーワークが祟り、一番しっかりしなくちゃいけない僕が過労でぶっ倒れてしまいました。

しばらく声が出なくなったり、めまいが止まらず一時的に再起不能になったこともあり、せっかく頂いた仕事の一部をお断りすることに。お取引先様の予定を狂わせるなど、多大な迷惑をかけてしまったことについて、未だに反省は止みません。

その後始末をしっかりとやってくれただけでなく、未だに一緒にやってくれているメンバーには感謝してもしきれません。

リモートワークはある程度の経験があれば十分やっていけると思いますし、出社がない分、気楽に仕事ができると思います。しかし、組織を大きくしていこうとする上では、作戦会議も意思の疎通も中途半端になるし、教育も満足にできないので非常に難しいと思います。

多くの会社が同じ空間で仕事をするという意味が、身に沁みてよくわかりました。

これまでの経緯(クーネルワーク創業)

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合併へ

繁忙期の反省もあり、その後は「じっくり技術レベルを上げていこう」ということで仕事をセーブしていました。

そんな中、直送計画の代表社員だった谷(現クーネルワーク社長)と飲みに行った際、人手不足で困っているということだったので、まずは加勢しようということで話をしていました。

しかし話をしているうちに「これは合併したほうが合理的なのでは」と思い、僕のほうから合併を打診しました。単純に「この人たちと仕事をしたら面白そうだ」と思ったのも理由のひとつです。

合併なんてそうそうあるもんじゃないし、メンバーみんなに大きな衝撃を与えてしまったと思います。文化の違いを吸収するのも簡単ではありませんでしたが、結果的に合併は成功だったと思っています。

実際、一緒に仕事をしてみると、案の定みんなそれぞれ独特で面白いメンバーばかり。僕を受け入れてくれた直送計画のメンバーには、とても感謝しています。

社長職退任

そして、この合併をきっかけに僕は社長ではなくなりました。「社長じゃなくていいのか」と言われることもありましたが、社長かどうかについてそれほど興味はないです。

根本的に「形はどうあれ、最終的に目的が達成できればよい」という考えを持っています。自分より社長に向いている人間が社長になるのは当然ですし、個人的には自分のやりたいことや、得意なことをやれる環境のほうが重要だと考えています。

ただ、語弊を恐れずに言えば、一般的には中小企業=社長と見る傾向が非常に強く、その点について違和感はあります。クーネルワークはよくあるオーナーカンパニーではなく、その成り立ちも特殊です。その特殊さを考慮してもらえたら…と思うことは少なくないです。(会社の成長とともに薄れていくのかもしれませんが…。)

急成長。社員倍増。

そんなこんなでクーネルワークとして歩みだして後半になって気付いてみると、なんと社員が倍増!

しかし、もともと友人と少数でやっていたので、上司としての経験、すなわちマネジメントの経験はほぼゼロ。ほとんど新卒で入ってきた社員に「社会人1年生おめでとう!だが私も上司1年生だ!共に頑張ろう!!」という謎の鼓舞とともに、僕のマネジメントの勉強が始まったのでした。

たくさんのポテンシャル溢れる若者たちがクーネルワークを選んでくれました。その能力を最大限伸ばしてあげることと、集まった才能を掛け算的にチームの力に変えることが上司としての役目だと思っています。

暗中模索で至らないことも多いですが、精一杯頑張っていこうと思います。何か変なこと言ってたら教えてね。

もっと失敗してやろう!

ここまでを振り返ってみると、楽観主義が半端ないことが長所であり短所でもあることがわかりました。

行動力に長けるなど良い面もありますが、経営に携わる者としては悲観的に考える必要もあると考えるようになりました。心根が超前向きなので、意識的に悲観的になるくらいのほうがいいのかもしれない、と思って慎重にやるようになっています。少しだけ成長しました。

本当に色んな人に迷惑をかけてきましたが、捨てる神あれば拾う神ありで、お陰様で今もやっていけています。「とりあえずなんとかなった!とりあえず生きてる!」という生の実感は人一倍ですし、感謝の気持ちもいっぱいです。普通に暮らしていたらなかなかできない経験ができたと前向きに捉えたいと思います。

なんだかんだここまで来るのにたくさん失敗をしましたし、判断をたくさん誤ってきました。中には「この人、結構馬鹿なんじゃないか」と思う人もいるかもしれません。半分はその通りだと思います。しかし、失敗があるからこそ人は大きく成長できるのだとも思います。

これまでたくさんの失敗を重ねてきて思うのは、「失敗したら、もっとひどい失敗をしてやろう!」というくらいの気概が人を大きく成長させる、ということです。失敗を恐れず、失敗から多くを学び、これからも大きく成長していきたいと思います。

これからのこと

マネージャーとして

今年は、マネージャーとしての役割をより大きく求められる年になると思います。これまでの経験をすべて肥やしにして、部下を積極的に育て、信頼され、才能を引っ張り上げられるような上司になり、さらなる飛躍の一年にしたいと考えています。

個人として

相変わらずものづくりの情熱は持ち続けています。しかし、黙って考えてるだけでは何も始まらないのです。

自称アイデアマンは世の中掃いて捨てるほどいるけど、実行力が伴わないのです。まずはプロトタイプからでもいいから、なんとか形にしたいと思います。

クーネルワークとして

僕たちがクーネルワークとしてやろうとしていることのひとつは、地方都市に人が大きく成長できる土壌を作ることです。まずは僕たちをはじめ、いまクーネルワークで頑張っている人たちが大きく成長することで、何らかの足跡を残したいと思います。

そうすれば、さらに若い世代に「新潟でも面白いことができる。新潟でも大きく成長できる!」と思ってもらえます。そうして新しく入ってきてくれた若い世代がまた大きく成長していく、という環境を作っていきたいと考えています。

理想を言えばキリがないし、やりたいことは山積みです。ひとつひとつ、もっと面白い会社にできるよう頑張ります!

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WRITER

坂井 俊

取締役 坂井 俊

クーネルワーク取締役CFO。ホワイト企業の経理職から畑違いのWEB業界で独立し、2016年1月の合併で取締役に就任。

取り柄は行動力。財務・営業・採用・人事・広報など幅広く業務を担当しています。一番まともそうに見えて、一番イカれてるようなそんな人でありたいです。

Twitter @cw_sakai